学部3年生が3ヶ月間の基礎研究体験を修了しました。
岡山大学医学部では3年次の10月から12月の3ヶ月間、希望した研究室に配属されて基礎研究を体験する講義、医学研究インターンシップ(略称 MRI)があります。
当研究室では3人まで受け入れており、今年配属された学生は2人がwet研究、1人がdry研究をすることになりました。
2022年度は計算構造生化学的な内容、2024年度はオミクス解析でしたが、今年はオミクス解析と機械学習の融合研究に挑戦してもらいました。
年齢が上がると疾患リスクが増えますが、同じ実年齢でも健康状態や病気のリスクには個人差があります。そこで体の状態や老化の進み具合を示す生物学的年齢という指標が必要になってきます。
先行研究としてDNAメチル化のパターンをもとに予測するエピジェネティッククロック、血液や組織の遺伝子発現をもとに予測するトランスクリプトミッククロック、血液や尿などに含まれる代謝物の量をもとに予測するメタボロミッククロックがあります。他にも、血液や血漿などに含まれるタンパク質の量の変化から予測するプロテオミッククロックがあります。
今回はミトコンドリア由来のsmallRNAの発現量から生物学的年齢を予測するミトコンドリアトランスクリプトミッククロックに注目しました。
ミトコンドリアには電子伝達系に電子を流してATPを合成するという役割があります。
一部の電子が酸素と反応して活性酸素種を作ります。
通常は活性酸素種の量が少ないのでATP合成機能にはほとんど影響しませんが、活性酸素種が過剰に産生される酸化ストレス状態ではATP産生能力が低下し、細胞のエネルギー代謝や機能が制限されます。
その損傷やストレスが蓄積すると、細胞はアポトーシスや増殖停止(細胞老化)を起こし、老化関連経路の制御異常が進行し、老化につながります。
ミトコンドリア由来のsmallRNAは活性酸素種の産生、ミトコンドリアの機能低下を反映できるということが報告されています。
そこで、「ミトコンドリアの機能は老化関連経路に存在していることから、その機能動態を反映する血漿中ミトコンドリア由来smallRNAの発現パターンを用いることで、年齢を予測するモデルを構築できる」という仮説をたて、その年齢推定モデルの構築を目的に今回の研究を進めました。
ヒトの公開血漿サンプルデータ(元のデータからadenomaの人と年齢がNAの人を除いた422人、男性163人、女性259人;年齢は20歳〜80歳)を用いました。
今回はニューラルネットワークとXGBoostを用いて、両者の生物学的年齢予測モデルの比較を行いました。
結果はこのようになりました。
今回の記事は発表原稿を基に執筆しました。
3ヶ月という短い時間でしたが、コンピュータだけで研究するというこれまで触れたことのない実験は大変だったと思います。
お疲れ様でした。